2014年1月31日金曜日

『エッジの社会学』、『メディア・文化のインターセクション』研究会―第4回公開研究会のお知らせ

題目:「生活圏」の行方と社会的なるものの可能性−ジモト/商店街/居場所の現在形
日時:2014年2月12日(水)13:00~16:30
場所:関西学院大学先端社会研究所セミナールーム(社会学部校舎3階)
http://asr.kgu-jp.com/contents/?m=Contents&cid=10

報告者:新雅史氏(学習院大学非常勤講師)、加藤裕康氏(関東学院大学非常勤講師)
コメンテーター:阿部真大氏(甲南大学准教授)
司会者:仲修平(関西学院大学社会学研究科博士課程後期課程)、山森宙史(社会学研究科博士課程後期課程)

備考:本研究会は、関西学院大学社会学研究科大学院生が自主的に企画している「エッジの社会学」研究会と「メディア•文化のインターセクション」研究会、先端社会研究所2013年度定期研究会との共催となります。本研究会に関するお問い合わせはkgu.socgp[at]gmail.com ([at]は@に変換してください)までお願いします。


概要:
 近年、地方郊外におけるショッピングモールの乱立やロードサイドビジネス等が生み出す画一的な景観が「ファスト風土」と批判されしばしば議論の対象となるが、それと対称的に「まちおこし」等の地域の駅前空間や商店街の活性化が声高に叫ばれる。しかし、これらの議論の多くにおいて、そうした「生活圏」内の商業空間が実際「どのように生きられてきたのか/活かされてきたのか」というリアリティの内実が深く掘り下げられてきたとは言い難い。とりわけ、そこに生きる生活者にとってこれらの商業空間はどのような意味を有しているのだろうか?
 以上の問題意識のもと、本研究会は現代日本の若者に焦点を当て、彼らがそれぞれにとっての身近な空間においてどのような「生」を実践しうるのかという観点から、生活インフラだけでなく働くことや人間関係の形成、居場所の構築といった「社会的なるもの」の基盤としての「生活圏」の現代社会における可能性を模索していくことを目的としている。
 報告者の両氏は、「商店街」や「ゲームセンター」という日常的な商業空間を研究対象に、歴史的な視点やミクロな視点によるフィールド調査を通じて、それぞれの研究対象の課題や可能性について明らかにされてこられた。新氏は、「地域や個人への給付」ではなく「地域に対する規制」によって〈ジモト〉に存在する商店街の理念を再考している。一方、加藤氏は、ゲームセンターをたんにゲームをプレイする場ではなく、様々な利用者の意図と実践がせめぎ合う中でその意味が読み替えられていく空間として捉える。
 これら両氏の視点を踏まえ、本研究会では「生活圏」における社会的なるものが、商店街に代表される地域の商業空間において、若者たちの具体的な実践を組み込む形で、どのようにして生成•維持されうるのか?という点を出発として議論してみたい。


報告者紹介:
新雅史氏(学習院大学非常勤講師)専門領域:産業社会学、スポーツ社会学
主著:2012年『商店街はなぜ滅びるのか−社会•政治•経済史から探る再生の道』光文社、2011年「両大戦間期における商店街理念の生成」『ソシオロゴス』(35号)など。

加藤裕康氏(関東学院大学非常勤講師)専門領域:コミュニケーション学
主著:2011年『ゲームセンター文化論』新泉社、2010年『コミュニケーション•スタディーズ』世界思想社、「初期カルチュラル・スタディーズにおけるサブカルチャーと疎外感 : ホガート、ヘブディジを手がかりとして」『余暇学研究』(16号)など。

阿部真大氏(甲南大学准教授)専門領域:労働社会学、家族社会学
主著:2013年『地方にこもる若者たち−都会と田舎の間に出現した新しい社会』朝日新聞出版,2006年『搾取される若者たち−バイク便ライダーは見た!』集英社など。